新型コロナが流行し始めた頃は、PCR陰性確認が療養終了基準に含まれていましたが、最新の知見により、療養終了基準は短縮され、療養終了時のPCR検査はされなくなりました。
では、PCR陰性を確認していない状態で、本当に他の人に感染させないのでしょうか?
この条件だと不安を感じる人も多いと思います。
そういった正しい知識のない漠然とした不安が、コロナ感染者への差別を引き起こしますので、確認していきましょう。
現在の療養終了基準、職場復帰目安【厚生労働省基準】
退院基準、宿泊療養の解除基準
①有症状者の場合
(1)発症日から10日間経過し、かつ症状消失後72時間経過した場合、退院可能とする。
(2)症状軽快後24時間経過した後、PCR検査または抗原定量検査で24時間以上間隔をあけて2回の陰性を確認できれば、退院可能とする。
②無症状者の場合
(1)検体採取日から10日間経過後、退院可能とする。
(2)検体採取日から6日間経過後、PCR検査または抗原定量検査で24時間以上間隔をあけて2回の陰性を確認できれば、退院可能とする。
参考文献:新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第4版
具体的な期間計算のイメージは以下の通りです。
職場復帰の目安
次の条件をいずれも満たす状態で職場復帰させる。
①発症後(ないし診断確定後)に少なくても 10 日が経過している。
②解熱後に少なくとも 72 時間が経過しており(a)、発熱以外の症状が改善傾向である(b)。
(a)解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤を服用していない
(b)咳・倦怠感・呼吸苦などの症状(ただし味覚・嗅覚障害については遷延することがある)
参考文献:職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第4版
職場復帰に関して、医療機関等への負担がかかる各種証明書(「陰性証明書や治癒証明書」)の請求はできるだけ控えることということも書いてあります。
PCR陰性を確認しなくても、他の人に感染させない?
これによると人から人への感染は、このように集計されます。
・発症前の時期が45%
・発熱や咳などの症状のある時期が40%
・環境(高頻度接触面など)を介した感染が10%
・無症候性感染者からが5%
発症後の感染力は思ったより高くないですね。
これを見ると、発症前の感染者の感染力が高いことがわかるので、
一人ひとりがあらかじめマスクをするということが大切なのがわかりますね。
PCR検査は感染の有無を調べる検査ではなく、体内に新型コロナウイルスの遺伝子が存在しているかの検査です。
最近の研究結果では、感染後3週間程度はPCR陽性が継続しうるといわれていますが、
他社への感染性を有する期間は発症後10日までであることがわかっています。
PCR陽性と感染力は異なるので注意が必要です!
コロナ感染者への起こりうる差別は?
①不確かな情報をもとにした、いやがらせやいじめ
②退職を勧める
③SNSでの誹謗中傷
④新型コロナの療養期間は終了しているのに、休職期間を延長させる
普段から従業員には①~③のような差別をしないように伝えておきましょう。
④に関しては、厚生労働省から出されている職場復帰目安の基準にPCR検査は含まれていません。
なので、感染者の職場復帰時にPCR検査の提出を求めるのはやめましょう。
事例1
本当にPCR陰性が確認できてなくても大丈夫?
追加であと1週間休んでもらう?
「追加のあと1週間」というのは何の根拠があるのでしょうか?
そういうことが差別になります。
注意しましょう。
事例2
ホテル療養が終了した従業員に療養終了日にPCRを受けてもらったら、陽性でした。
復帰時期はいつに設定したらよいでしょうか?
PCR陰性になるまでもう一度PCR検査を受けさせたほうが良いですか?
現在の厚生労働省の基準では、職場復帰目安にPCR検査を求めてはいけません。
なので、ホテル療養期間が終了しているのであれば、職場復帰可能ということになっています。
PCR陽性と感染力があるかは異なることは先ほどお話ししましたね。
もし、企業としてPCR陰性をもって職場復帰というルールを作るのなら、PCR検査は会社負担でしょうか。。
このケースは、現在の厚生労働省の基準では職場復帰にPCR陰性が必須でないことを知らずに、PCR検査をしたところ、陽性が出て(当たり前ですが)困って連絡が来ました。
基本的には、厚生労働所の基準に沿う形でやろうとすると、PCR検査は必要ないので、ホテル療養期間が終了しているので職場復帰可能だと思われます。
しかし、企業ごとにいろいろな事情(例:他の企業に出入りするためにそちらでPCR陰性が必須と言われてしまった、医療機関に出入りするからなど…)もあるようですね。
まとめ
職場復帰時期に関して、産業医への問い合わせは増えています。
わからないことがあれば、職場の産業医に質問してみてください。
産業医不在の場合は、保健所の指示や以下の参考文献を参考にしてみてください。
※新型コロナウイルスに関しては、日々情報が新しくなっているため、ご自身で最新の情報を確認されることをオススメします。
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参考文献
厚生労働省 職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第4版
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第4版